フラガールという映画の中で、炭鉱を閉山することを労働者たちに報告するシーンがあります。
このとき炭鉱の偉い人が労働者たちに謝罪するのですが、労働者たちは当然激怒するわけですね。
「会社のために働いてきたのに首切るつもりか!」
「この人でなし!」
会社の進みたい方向と労働者たちの欲望が衝突するのですが、僕の中でも
なんだかこんなことずっと繰り返してきたなあ、って思いました。
1999年8月―――。
可能性 「えー、このたび、1分100円で人をホメるというストリートパフォーマンスを職業にすることを思いつきまして、ひいては就職を放棄したいと考えて……」
世間体 「どんなキャリアだお前、それ」
可能性 「確かに、一見ドロップアウトに見えるとは思うのですが、しかしこの道を行った場合、知名度や収入などのリターンも大きい可能性があるので、みなさんにご協力いただければと考えている次第です。よろしくお願いします!」
2002年2月―――。
可能性「えー、このたび、こうして2年半、タレント的な活動を行ってきたわけですが、やはり、演者としての才能に限界を感じ、新たな可能性を模索したいと……」
世間体 「ちょっといいかな……?」
可能性 「はい」
世間体 「あんたが『イケると思います』いうから目つぶってきたけど、どゆこと?」
可能性 「いましばらくお待ちいただければ花開くこともあるかと……」
世間体 「しかも、これから無収入なわけでしょ。しかも今まではまだシャレのきく年齢だったけど、もう25でしょう。いよいよナメられるけど、どうするつもりなの、同窓会とか」
可能性 「そ、それは、なんとか、その場のトークで、自虐しながらの笑いでうやむやにできればなと」
漫画欲 「あの……」
可能性 「は、はい」
漫画欲 「最近、漫画喫茶連れてってもらえてないんですが」
可能性 「す、すみません。もうしばらくコンビニの立ち読みで我慢してもらうことになりそうです」
漫画欲 「いつまでですか」
可能性 「それは、そうですね……あと1年ほど我慢していただければ」
漫画欲 「そう言われて、もう2年経ってるんですけど」
可能性 「申し訳ありません」
ゲーム欲 「三国志、もう『Ⅵ』出ちゃってんだけど」
可能性 「そ、そうでしたか」
ゲーム欲 「『Ⅴ』すらやってないんだけど」
可能性 「申し訳ありません」
目立ち欲 「あのう……」
可能性 「はい」
目立ち欲 「ちょっとおうかがいしたいのですが、演者としての方向性を断念するという話が出ていたみたいですが」
可能性 「そうですね。やはり、どうしても太刀打ちできない部分がありまして」
目立ち欲 「で、あなたどうするつもりですか?」
可能性 「とりあえず、本を書いてみようかと」
目立ち欲 「でも、それ、目立てないですよ」
可能性 「ま、まあ、そうかもしれません。でも、やはり、向き、不向きというのもありますし、それが社会においてサービスとなっていないのであれば方向転換をせざるを得ないというのが現状でして」
目立ち欲「いやいやいやいや、渋谷の街歩いてて、「あ!」とか言われたいがためにやってきたわけでしょう。それを急に文章書くってあんた、それ話が違うでしょうが。あんたが目立てる言うから、テレビ出て目立てる言うから、漫画欲さんとゲーム欲さん、その他のみなさんと私が話しつけてきたわけでしょう。」
可能性 「す、すみません」
睡眠欲 「あの、最近、8時間寝れてないんですけど」
可能性 「す、すみません。ちょっとトラブルでごたごたしてたもので」
睡眠欲 「でもこれからは寝られるわけですよね。完全自由時間になるわけですから。12Hとかアリですよね?」
可能性 「あ、その件なんですけど……」
睡眠欲 「はい?」
可能性 「あの、やはり、これからは一切の強制力が無くなるわけなので、これからは私がコントロールしていくことになります。というわけで、毎朝9時に起きて家の隣の富岡八幡宮に『本が出ますように』とお祈りを一緒に」
睡眠欲 「は?」
可能性 「あ、いや、だからお祈りを」
睡眠欲 「は?」
チンポ 「今日も、オナニーすか?」
可能性 「そ、その予定ですが」
チンポ 「長らく、人肌に触れていない気がするんだけど」
可能性 「気持ち、お察しします。ただ……」
チンポ 「ただ…?」
可能性 「これからは、見ての通り4畳半の部屋ですし。冷暖房もございません。ここに女性を連れ込むというのは難易度が格段と……」
そして2006年―――。
世間体 「ちょっと、あんたどういうことだよ」
可能性 「すみません……。」
世間体 「あんたが、どうしてもって言うから、『絶対、イケる』って言うから、服燃やすのとか、我慢して全裸写真ネットにアップしてきたけど、『方向間違えてた』ってどういうこと?」
可能性 「いや、それは、その……」
文化祭モデル 「楽しければいい。そう言ってたよね?」
可能性 「は、はい。ただ、その、やはり、やってみて分かったのが、『楽しければいい』ということはつまり、一生インディーズで良いということと同義であることを実感しまして」
WEB 「ネットのファンを一番大事にする、自分、そう言うてたやんな?」
可能性 「はい。たしかにそのように申しました。ただ…やはり、ネットはその、」
WEB 「なんね?思ってることあるならはっきり言ってみいや」
可能性 「なんといいますか、その、ポジションを築くのが……」
WEB 「うわわわ……」
可能性 「今後は、もう少しコラムみたいなものを精力的に書いて行こうかなと」
WEB 「かー! コラムニストかいな! なんやそれ、自分、全然面白ないやん。めちゃめちゃ普通やん」
可能性 「は、はい。しかし、やはり世の中的に認知してもらうことで僕の今後の可能性が開けると……必ずまた戻ってきますから」
漫画欲 「あの、漫画喫茶、全然連れてってもらえてないんですけど」
可能性 「すみません……」
漫画欲 「立ち読みすら、してもらってないんですけど」
可能性 「すみません。もう少しなんで、もう少ししたら」
漫画欲 「『ねぎま』というのが気になるんですけど」
可能性 「はい。もう少し待っていただければ必ず」
チンポ 「少なく見積もって3ヶ月は行ってないよね。合コン」
可能性 「ええ、まあ」
チンポ 「酒やめて仕事に集中すれば、最終的には芸能人と付き合える的なことおっしゃられてましたけど」
可能性 「そ、そうでしたっけ?」
チンポ 「言いましたよ。だから俺、酒欲さんと3日3晩に及ぶ殴り合いのケンカしたわけだから」
可能性 「あ、あの、みなさん。もう少し、あと半年、半年待っていただければ必ず、みなさんのご満足いただけるような結果を出してみせますのでいましばらくの辛抱をしていただければと」
ファッション欲 「もうそろそろ、服、買っていただけないものでしょうか?」
可能性 「必要ないでしょう、あなたは」
ファッション欲 「いや、そうも言ってられませんよ。この前、マンションの1階で変質者に間違われましたよね」
可能性 「と、とにかく君は後回しだ」
世間体 「そう言って、ここにいるみんなを後回しにして、お前何年だよ」
可能性 「そ、それは……」
世間体 「8年だよ。お前8年間そんな調子でみんなに迷惑かけてきてんだよ。分かってんのか!?」
可能性 「分かります。分かります。しかし、どうしても、やはり、その水野には何かある。何かあるはずだと思います。思いますというか、思わざるを得ないといいますか、世間の評価こそついてきてないですが、それでも、もうすこし時間を時間をください、お願いします! みなさん、お願いします!(泣きながら土下座する)」
世間体 「……」
ゲーム欲 「……」
チンポ 「……」
漫画欲 「……いいっスよ」
一同 「えっ?」
漫画欲 「自分、もう少し、我慢してみます。喫茶、我慢してみます」
ゲーム欲 「でも、君、もう相当長いこと行けてないんじゃ……」
漫画欲 「しょうがないっす。1日は24時間。これだけは変えられませんから」
可能性 「ま、漫画さん!」
漫画欲 「いいっす。水野の可能性にかけてみます。その代わりと言っては何ですが、例の件……」
可能性 「漫画原作の件ですね! お任せください! 必ず!」
漫画欲 「あれをやると確か……」
可能性 「漫画本が無料でたくさんもらえます!」
漫画欲 「うひひひ」
世間体 「おい、お前」
可能性 「はい」
世間体 「『トップランナーに出る』という約束、あれはまだ信じていいんだろうな?」
可能性 「『トップランナー』だけではありません。『情熱大陸』『カンブリア宮殿』『プロフェッショナル仕事の流儀』これらの番組に出たときのトーク、立ち回り、1000回以上のシミュレーションが終了し、現在もライフワーク化しています」
世間体 「よし」
ゲーム欲 「あのう……」
可能性 「Nintendo DS ですね。プレステ2以来ハード機、必ず実現してみせます」
ゲーム欲 「やっとタッチパネルが……(遠くを見つめて)」
チンポ 「あのう……」
可能性 「アイドル合コンですね!」
チンポ 「頼んます」
可能性 「みなさん、ご協力ありがとうございます! 必ず、必ずやメジャーとなり、みなさんのご期待に添えるような結果を出してみせます!」
世間体 「まーた、あいつにうまいこと丸め込まれたなぁ」
2007年04月26日 10:48