橋本くんがバリで購入した家のリビングから見渡せるのは、ウブドの山々とその山の中を切り立つ形で存在するのがフォーシーズンズ・リゾートであり、僕は、橋本くんが自ら図面を書いてバリの家具屋に作らせたオーダーメードのリクライニングチェアーをキコキコ鳴らして前後に揺れているとあまりに暇な自分に気づき、なんとなく、この場所から、フォーシーズンズに向かってナパーム弾的なものを放ってみることにした。
妄想で。
すると、フォーシーズンズはあっけなく粉砕した。
「隙だらけですなぁ」
とつぶやいて、バリの地ビールであるビンタンビールに口をつけてみたが、
やはりやることは何もなかった。
―――というわけで考えてみることにしたのでした。
【どうして、破壊はたやすいのか】
「作る」ということの困難さはかけら程度に経験しています。
本をたった1冊作るだけで、何ヶ月、場合によっては1年以上もかかることがあり、しかし、その何ヶ月もかけて蓄積された本のデータが入ったPCが壊れてしまえば、今までの作業は一瞬にして消えてしまいます。
それは、大げさではなくて、「一瞬」です。
また、僕の卑近な例を出さなくても、家を作る人、会社を作る人、作品を作る人、フォーシーズンズリゾートもしかり、そのすべての「作る」という行為において、人はこれほどに時間と労力を費やしているにも関わらず、それが破壊されるのはきわめて短時間、というか場合によっては一瞬で可能になります。
・・・ま、これは当たり前の話なんですけど。
創造は難く、破壊は易い、これは昔から言われて尽くされてきた言葉でいまさらここで
取り上げる価値もないかもしれません。
しかし、暇だったので。
こう考えてみたのです。
「きっと何か理由があるに違いない」
この世界が偶然の産物ではなく、完全な秩序から成り立っているとしましょう。
その場合、創造と破壊が同等の価値をもつのであれば、
創造にかけられる年月と同じ時間をかけて破壊が行われる、それが「筋」というものではありませんか。
しかし、創造には多大な年月と労力がかけられ、破壊されるのは無情なまでに瞬間的。
世界がこうしたつくりになっている理由とは?
リセット、ではないかと思うのです。
世界はリセットを推奨している。
人が100年かけて作ったもの、それが1秒で破壊されること、これを世界は「アリ」だとしているのであれば、それは、世界からの「ばんばんリセットしちゃってください」というメッセージなのかもしれません。
「水野くん、人生は、ゲームのようにリセットボタンは押せないんだよ」
そう言った教師がいました。
しかし。
もしかしたらリセットボタンはあるのかもしれません。
むしろ。
世界はそのリセットボタンを押せと言っている。
「途中で投げ出すな」
「最後まで頑張れ」
これは、他人をコントロールするための言葉であって、
本当は、
人は、いつでもゼロにして最初からやり直せる。
そして、橋本くんは、もう29歳なのにまだ大学を卒業していなくて、
去年は世界一周旅行をしていて、今は、勢いでスパを作ろうとし、
欲望のおもむくままに生きる、つまりは、「ダメ人間」なのですが、
その生き方こそが、「本来」なのかもしれません。
橋本君 「あそこにバンブー(竹)的なものを…」
バリ人 「バンブーテキナモノ?」
2006年01月06日 01:18